
裁量労働制、みなし残業、見込み残業、固定残業….
色々と言い方はありますが、基本給や年俸の中に一定の残業代が含まれているとみなす制度のことを言います。
近年はこうしたみなし残業制度を導入する会社は増えてきておりまして、
基本給20万円!(見込み残業20時間込み)
基本給35万円!(見込み残業100時間込み)
このような記載をする企業は新卒、転職に関わらず非常に多いです。
ちなみに僕は転職を2回経験して3社を経験していますが、見込み残業制を導入せずしっかり残業代が支給される大企業、見込み残業制であり超過分はしっかり残業代が支給されるベンチャー企業、見込み残業制であるが超過分の残業代は一切支給されない企業の3社に在職した経験があります。
そして、僕の経験則で言うとみなし残業制度を導入している企業は8割方ブラック企業であると言わざるを得ないので、本日はそんなお話をしたいと思います。
目次
みなし残業の2つの種類
まずは興味あるかないかはわかりませんが、みなし残業の種類について説明したいと思います。
興味ない方は飛ばしてくださいw
みなし労働時間制によるみなし残業
こちらは端的に言うと実労働時間を把握することが難しい労働者、完全成果主義の労働者に対し、労使で合意した時間を1日の労働時間とする制度のことです。
…こう言ってもわからないと思うので具体例を挙げると、エンジニアやコンサルタント、研究者などがありますね。
例えば在宅エンジニアだったら家で何時間労働しているかなんて把握できないので、みなし労働時間を決めるわけです。コンサルタントや研究者も同じですね。具体的に何時間働いているか把握できない職種に対して、一律基本給はいくら!と固定して給与を支払うわけです。
定額残業制によるみなし残業
ブラック企業にありがちなのはこちら。
内勤、外勤に関わらず、基本給や年俸の中に一定の残業代が含まれているとみなす制度です。
例えば例を挙げるなら、
基本給20万円!(見込み残業20時間込み)
みたいな会社のパターンです。見た目の基本給は20万円ですが、残業20時間を含んでの基本給20万円ですので、実質の基本給は17万円くらいだと見なければなりません。
ちなみに、法律上は見込み残業を超えたケースでは使用者は労働者に超過分の残業代を支払わなければなりません。見込み残業20時間込みでの基本給であったならば、残業時間が20時間を超えたら必ず使用者は残業代を別途支給しなければなりません。
みなし残業を導入する企業の大半がブラックである理由
さて、ここからが本題になりますが、みなし残業を導入する企業の大半はブラック企業です。以下、その理由を見てみることにしましょう。
超過分の残業代が支払われないケースが非常に多い
さて、企業はなぜわざわざ見込み残業制を採用するのでしょうか?
いや、コンサルとかエンジニアだったらわかりますよ。実労働時間を把握できないんですから見込み残業制にするほかはないでしょう。
しかし、問題なのは内勤の総合職だろうとなんだろうと正社員は一律見込み残業込みの基本給にしている企業です。
コンサルやエンジニアなどの専門職ではない企業が労働者をみなし残業制で雇用することのメリットはなんでしょうか?
そうです。
使用者は従業員の人件費を計算しやすい(固定費を把握しやすい)のです。
残業代込みの給与を一律基本給で決めてしまえば、人件費を計算しやすいので事業が非常にやりやすいんですよね。
そして、そうした企業の経営者の大半は基本給に含まれているみなし残業時間を超えた分の残業代は支払いません。
そりゃそうですよね。
企業の経営者から見たみなし残業制度の旨味は社員の人件費を一律で把握できることなので、わざわざ超過分の残業代を支払うわけがないです。
難しいことはわからないけど、
裁量労働制の適用される職種はよく検討されるべきだし、裁量労働制を拡大したとして、それが長時間労働の改善につながるとは到底思えない……。
みなし労働時間の設定次第だけど、雇う側にしかメリットがないように思えてならない。
むしろ労働時間が増えそう。— まさくん (@masakun_erika) 2018年2月15日
このツイートのように、雇う側からしたらメリットしかないのがみなし残業制度なんですよね…
事実、みなし残業制の元、長時間労働を強いられ自殺に追い込まれた社員なども日本には大勢います。みな、みなし残業制の被害者なのです。
労働裁量性がどれだけクズなのか説明しやすいのが、皆様のNHK・女性記者の過労死。死亡した月は「みなし労働時間制」のもと、残業は209時間にも及ぶ。法要で元同僚は遺族に「要領が悪く、時間管理ができないから死んだ」と… https://t.co/Wl6k2MGUVE #定額働かせ放題 https://t.co/BAoaBs4niV
— ホワイト労働を広める会 (@WhiteworkJP) 2018年2月15日
また、企業側からすると当たり前の話ですが人件費というのは出費総額の調節弁になります。
裁量労働制談義が盛んだけど、世の中には裁量労働制を導入していると言ってコアタイムも設定せず何時に来て何時に帰っても普段は何も一言も言わないのに、いざ査定の時期になると総労働時間をチェックして「みなし残業代の分まで働いていない」とか言い出して給料下げてくる企業もあるので皆様ご注意を
— TJO (@TJO_datasci) 2018年2月20日
いろんな業界で長時間労働での過労死が相次いで、偉い人が「働き方改革」と言い出したから、「ああ、やっと労働者の事を考えて、少しでも負担を軽くしてくれるんだな」と思ってたのに、みなし残業手当さえ払えば何時間でも合法的に働かせ放題というとんでもない内容で、これ考えた人サイコパスでしょ…
— ひきこうもり (@Hikikomori_) 2018年2月15日
経営者側がみなし残業制度を採用する理由を考えれば、その会社がブラックである確率が高いということは自明なのです。
とはいえ、みなし残業制度でもきっちり残業代が出る企業は存在する
とはいえ、みなし残業制度でもきっちり残業代が出る企業は存在します。
事実、僕が2社目に勤めたベンチャー企業は20時間の固定残業が基本給に含まれておりましたが、20時間を超えた分の残業代はきっちりと支給されておりました。
固定残業制度を導入している企業の大半はブラック企業ですが、あくまでその確率が極めて高いというだけであって、中にはみなし残業時間を超えた分の残業代をきちんと支給してくれる企業もありますので、そこらへんはきちんとご理解いただければと思います。
求職者は見込み残業時間を超えた分の残業代がきちんと支払われるのかどうかを確認すべし
さて、なるべくなら固定残業制度を導入している企業には行かないほうがいいのがベストなのですが、中には希望の会社が固定残業制度を導入しているケースもあることでしょう。
そんな時は、人事部に確認すると同時に、その会社の社員に直接社員訪問をしたり、口コミサイトを見たりしてきちんと働いた分の残業代が支払われているかどうかを確認しておきましょう。
人事部にのみ確認すると嘘をつかれるケースもありますからね…
実際には超過分を支払うと言っておきながら、出勤簿の帰社時刻が強制的に18:00退社に書き換えられるなんて企業もあります。
そういったお話は直接社員訪問をしたり、口コミサイトを見なければわからないことですので人事のお話を信じることなく事前に必ず確認しておきましょう。
ちなみにですが、
「おれはお金なんてなくても成長さえできれば耐えられる!!」
なんてのたまう就活生がいたら、そんな気持ちは1ヶ月で消えますので肝に命じておきましょうw
仕事のモチベーションは、最低限の給与の支払いがないと維持できないものなのです。
仕事選びにおいて「お金」と「やりがい」は表裏一体だと思っている。やりがいを求めて映像製作会社に行った友人はやりがいこそあれどあまりに薄給で辞めたし、お金を求めてトヨタの事務職に行った友人もお金こそあれどやりがいがなくて辞めた。両方が自分の求める水準を満たす仕事を選ばねばならない。
— タコペッティ (@syakaisei) 2018年1月25日
まとめ
まとめとしてですが、結論としては就活でも転職でも見込み残業制の会社には行かないほうがいいよ、ってことです。
よほどその会社でやりたいことがない限り、真っ当な基本給で真っ当に残業代が支給される会社で働きましょう。
ではでは今日はこの辺で。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
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