内定者が語る!シンクタンク各社の選考の実態と徹底業界研究

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「シンクタンク」とはニュースや新聞でよく聞く単語であり、一流大学生の間では人気の就職先として有名です。

ただ、

いまいちシンクタンクとは何をする会社なのか?
そもそも中ではどんな仕事をするのか?
シンクタンクから内定を貰える学生はどんな奴なのか?
コンサルと何が違うのか?

など、わからないことが多くあります。

ということで本日は、大手シンクタンクから内定を貰った大学院生にシンクタンク業界研究記事を寄稿してもらいました!

各シンクタンクについての徹底された業界研究、シンクタンクの選考を勝ち抜くためのコツ、ノウハウが記載されておりますので、シンクタンク志望の就活生は是非ご覧ください!

 

そもそもシンクタンクとは?

そもそもシンクタンクとはウィキペディアによれば

「シンクタンク(英語: think tank)は、諸分野に関する政策立案・政策提言を主たる業務とする研究機関。(中略)直訳すると、頭脳集団。」

だそうです。

本業界研究記事執筆者は文系のくせに大学院に進学してしまい、その結果、「この研究には何の意味があるんだろう」と思ってしまった人間です。その後社会科学の研究を活かせる仕事としてシンクタンクに就職して政策提言を発表したいなーといつか思うようになりました。まあ学部生の時から思ってたんですが。

つまりシンクタンク業界への就活を二回したということで、今ネットに上がっているどんな情報よりもしっかりした業界研究を書けると自負しています。

さて、ウィキペディアの「シンクタンク」を開くと世界各地のシンクタンクがずらーっと並べてありますが、これだけ読んでも全く無意味でしょう。

政府系のシンクタンクとして各省庁のものも並べてありますが、新卒で募集しているところなんてなくて、たいてい学術界で業績を残した人か天下り官僚くらいしかいません。

その中でも民間シンクタンクというものがあります。「◯◯総合研究所」とか「◯◯総研」とつくところです。

中には初めは政策提言とかを目的に作ったらしいですが、気がついたら中小企業のコンサルしかしてないような会社もありますね。船井総研とか。

そしてシンクタンクは政策提言をしているところなのですが、実際のところ自分の好き勝手に提言したところでお金になりません。単純化して、シンクタンクの仕事内容、すなわちシンクタンクのお金の稼ぎ方は次の4つに集約されると思います。

 

①官公庁や地方公共団体から受託調査を請け負う
②金融機関のグループ企業として経済分析を行う
③ システムインテグレーターを兼ねる(要するにIT部門を所有する)
④ 民間会社の経営コンサルタントを兼ねる

 

シンクタンク各社のホームページを見ると「レポート」と呼ばれるものがたくさん掲載されていますが、これらは要するに①とか②とかの副産物と考えたほうが良いでしょう。

②はニュースのコメンテーターとかで「エコノミスト」なる肩書で出て来る人を想像すれば大体合ってると思います。大和総研の熊谷さんとか、バラエティ向きの人だとホンマでっかの門倉さんとか森永(拓郎)さんとか。

で、一口にシンクタンクと言っても社員数人のなんとか総合研究所みたいな会社もたくさんあるので、特に(誰が定義したのか知らないけど)五大シンクタンクと呼ばれる会社について中心に書いていこうと思います。

 

五大シンクタンク各社の徹底業界研究

(*会社名の右に<>で囲ってある番号は前の段落で示した4種類の仕事内容のうちどの仕事をしているかを示す。)

 

野村総合研究所(NRI)<①③④>

どうやら「シンクタンク」と言われて一番はじめに思い浮かべる人が多いのはここの会社らしい。

が、説明会ではこんなことを言われる。

「うちはシンクタンクではありません!!!!!」

もとは経済分析の仕事がメインで設立されたらしいが、グループ内のIT企業を合併し、現在では売上の8割がIT部門(③)、残りの2割が①④の仕事である。

野村證券の子会社なのかと思いきや、東証一部上場で野村證券とは資本的にはだいぶ独立しているようである。また、IT部門の社員にOB訪問したら「野村證券とは全然社風が違って穏やか」とのこと。名前で損している。

採用の入り口でシステム部門と経営コンサルタント部門が分かれており、経営コンサルタントの方ではコンサルと受託調査の両方の部署に異動する可能性がある。

経済分析のほうは新卒採用枠が無いけど一応やっているのかしら…

 

三菱総合研究所(MRI)<①④>

これもシンクタンクと言われて想像する確率が非常に高い企業であろう。東京大学の総長を務めた小宮山氏が理事長を務めているなど、学術界とのつながりも強い。

売上に占める官公庁案件の比率は七割程度で、他のどのシンクタンクよりも高いと思われる。三菱と名がついているが、一部上場企業であるし、別に三菱グループの経営コンサルタントばかりというわけではない。

子会社に三菱総研DCSがあり、③の仕事はそちらで担っている。ここも近年民間企業の経営コンサルタントに力を入れているらしい。

 

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)<①②④>

「何じゃそりゃ」と言われそうな社名。五大シンクタンクの中で唯一総合研究所も総研もつかないところである。

こちらは三菱UFJフィナンシャルグループの一員。かつてのUFJ銀行を構成していた「三和銀行」の子会社「三和総研」の流れをくんでいる。三和総研といえば今の民進党議員である細野豪志や先述の森永卓郎が働いていたことで知られる会社である。三菱総研とは資本関係は何もなく、むしろライバル企業に当たる。

「うちはシステム部門を有しない純粋なシンクタンク」であることをひたすらドヤ顔してくる。確かにそうなんだけど、三菱総研の社員数に子会社の三菱総研DCSの数を含めた上で「三菱総研も社員の八割くらいがIT部門だ」と主張してくる。
経済調査部門も毎年新卒を募集しているが、「一人入れるかどうか」らしい。

 

日本総研(JRI)<①②③④>

ついにでてきたフルラインナップ。名前からいったいどこのグループなのか想像がつかないが、三井住友フィナンシャルグループの100%子会社。

例によって社員の八割くらいがIT部門だが、IT部門は三井住友グループの案件しか手がけていない(野村総研や三菱総研DCSは他のグループの案件も手がけている)。

説明会では「ITとコンサル(経営コンサルと受託調査を両方やってる部門)とリサーチ(経済調査部門)の協働が~~」と言われるが、ES提出後に行われる座談会で得た情報によれば「ほとんど連携してないし、人事交流もないから別の会社みたいな意識がある」とのこと。

 

みずほ情報総研<①③④>

名前の通りみずほフィナンシャルグループの一員で、名前に「情報」がつくようにIT部門の方が大きい。

ITの方は「みずほ銀行システム統合」というIT業界では「大掛かりすぎていつまでたっても終わる気配がないヤバイ案件」を手がけているところとして有名なんだとか。

受託調査の案件は厚生労働省の案件と環境省の案件に強みがあるようである。経営コンサルタント部門の強みはよく知らない。

以上が五大シンクタンクの簡単な紹介である。

 

五大以外のシンクタンク業界研究

さて、他にも有名なシンクタンクはいくつかあるので紹介したいと思う。基本的には金融機関の子会社とかである。

 

みずほ総合研究所(MHRI)<①②④>

あれ?と思った方、あなたは正しい。さっきもみずほって出てきたじゃねえかと。その通り!

みずほグループは合併当時、対等な規模の銀行が三つ合併したがためにシステムは未だに統一できていないし、人事は出身銀行を常に気にしないといけないなど今でもそのしこりが残っていることで知られているが、こんなところにもそのしこりが出ているのだ!

一般的に「みずほ総研」というと規模が大きいみずほ情報総研のほうを指していることが多いという本当に悲惨な会社である。

多くのシンクタンクが3月中に募集を締め切るのに、この会社だけ6月以降も募集を続けていたという事実からも悲しみが伝わってくる。

 

大和総研(DIR)<②③④>

名前の通り、大和証券グループのシンクタンクである。

受託調査は殆どやっていないらしく、「ウチの強みは自主研究です」とのたまっている。

また、説明会ではITとコンサルとリサーチの協働が強みだと言っているが、座談会で聞いたところによれば社員としてはそんな意識はあまりないらしい(これまたどこかで聞いた話である)。

三部門の連携としてビッグデータ解析とかミャンマープロジェクト(ミャンマーの民主化前から手がけている案件で、証券市場を作るための事前調査とかそのシステムづくりとかを一貫してこの会社が担うというやつ)があるそうだ。

関係ないけど他のシンクタンクの略称は◯RIなのにどうしてここだけ「DIR」なんだろう。

 

浜銀総合研究所<①②④>

神奈川県民にはおなじみ横浜銀行・通称浜銀のシンクタンク部門である。

名前通り神奈川県の自治体や企業の案件に強みがある。ビッグデータという言葉が出来る前から統計分析に力を入れてきたというので、そういう研究をしてきた学生には非常にうってつけの会社だと思う。

他のシンクタンクと違って「質問回」名目の面接とかしてこなかったし非常にいい会社であると思う。

 

シンクタンク業界の選考の特徴

以上、本記事に挙げた会社は民間企業かつ新卒採用をしている。ということはすなわちほかの民間企業と一緒でリクナビやらマイナビやらからエントリーしてESを送ったりするわけだが、他の業界と違うと思う特徴がいくつかある。

以下、それらについて書いていきたいと思う。

 

ESの分量がめちゃくちゃ多い

例えば三菱総研の場合は「研究の概要」「志望動機」「研究以外のガクチカ」の三つだけだったが、全て900~1100字という恐ろしく長い字数制限があった。

調査したり研究したりするだけでなく、それをレポートという形で世間に公表するので、当然ながら文章力が求められるのであろう。修士論文で何万字も書かないといけないことに比べたら全然大したことないと思うが、にしても「志望動機」だけで1000字はかなりきつい。他の会社も合計で2000~3000字のところが多かった。

しかも上記の会社のうち半分くらいは3月中に締め切りだったのでものすごく大変であった。3月広報解禁の6月選考開始とかいうスケジュールにしたの誰だよ死んでくれと思った。

 

やたら大学院生が多い

やはり研究がメインであるため、大学生よりもはるかに大学院生の志願者が多かった。

ある会社では5人のグループ面接で4人が院生だったし、別の会社でも3人全員が院生ということがあった。

専攻はかなりバラバラで、文系も理系もいた。文系の大学院生は理系の大学院生と比べ圧倒的に希少な存在だが、シンクタンクでは大量に遭遇した。文系院生にとっては「自分の専攻が生かせるところ他にないし受からせてくれ」と思っているのだが、理系の院生を見るとやはり怯んでしまう。

いろんな会社で新卒入社の社員の学歴を聞いたところ、修士卒は5割から7割といったところだった。「別に学部生だから入れないというわけでもないし、大学や院での研究内容が直接仕事になるというわけではないので積極的に応募して欲しい」といった発言が得られた。確かに説明会で環境政策の研究を今している人には大学院では何をしてたか聞いたらラットの解剖とか言われたので、ダイレクトではない。

 

その場で書かせる論文試験がある

あんなにたくさんES書かせたくせに、会社に呼び出してその場で論文を書かせてくる会社がいくつかあった。

部門別採用の会社なら「地方創生のために何が必要か」みたいな質問をしてきたり、「あなたなりに豊かさとは何かを定義し、日本は豊かなのかどうかを論ぜよ」とか出てきたりした。

 

面接じゃない名目で呼び出してくる

さきほどもちらっと書いたが、3月中にESを締め切ったあと、「分量が多いからあとニヶ月くらいじっくり読んで6月に面接するのかなあ」と思いきや、もちろんそんなことはない。

会社によって名前が違ったが、「キャリア相談会」「合同質問会」「座談会」「コンサルティング体験」「模擬面接」などという名目で呼び出される。これは普通の民間企業でも一緒かもしれない。

キャリア相談会ということで官公庁案件と民間企業案件の比率とか訪ねようと思って、本当に相談しに行くと、後日

「貴殿とのマッチングに関して慎重に検討させて頂いた結果、大変残念ながら貴意に添い得ぬこととなりました。」

というメールが届いたこともあった。

また、別の質問会では合同質問会ということで聞きたい質問をたくさん用意して向かうと、こういう言われるのであった。

「それではこちらから皆様にいくつか質問をしたいと思います」

 

ナ、ナンダッテー

 

そう、社員から質問する会だったのである。こちらからはせいぜい二つくらいしか質問できなかった。

6月1日になった瞬間、なぜかお祈りのメールが届くのであった。みん就によるとそのあと「個別質問会」とかいうのが行われたそうだがお祈りメールをいただいた企業からは勿論そんな案内はなかった。

お祈りのメールを送ってくるところはまだマシで、とあるシンクタンクでは4月上旬に「座談会」に呼ばれて以来、未だに何にも連絡をしてこない会社がある。

不誠実にもほどがある。

連絡がないので「シンクタンク落ちた、日本◯研死ね!」とさえ言えない。

 

部門別採用なので現場の上司が面接官

面接じゃない名目で呼び出してくるとのことだったが、リサーチ希望なのにITに飛ばされたみたいなミスマッチが起こらないよう、基本的には部門別に採用を行っている。

会社によっては◯◯本部に所属する一定以上の階級の社員全員と面接を行うが、役員に会うことはない、というくらい徹底的に部門別のところがあった。官公庁案件は興味あるけど経営コンサルに興味ねえやって人には是非そういう会社の選考を頑張って欲しい。

 

コネが重要(?)

とは言っても別に親が政治家であるとかそういう意味ではない。

シンクタンクの内定者の知り合いは何人か知っているが、そのうち過半数はアルバイトやインターンで本選考が始まる前からコネクションがあった人である。やはり部門別採用であることが効いているのであろうか。

アルバイトはだいたいサークルコネクションで紹介されることが多いようなので、そういうツテが全く無い場合はインターンシップには積極的に応募するべきだ。

 

(うまくいけば)選考解禁日の6月1日以前に事実上の内定が出る

みん就やOB訪問の情報によると、選考解禁日に偉い人と握手するためだけに呼び出される会社があるようである。

余談だが、「日本最大のシンクタンク」と言われるのは実は霞が関にある各中央省庁だったりする。日本はアメリカのように議員立法がなく、法律や政策に一番詳しいのは実際に運用している官僚だということである。

特に政策調査をやりたいと思っている人は、なぜ政治家や公務員ではないかという質問は必ず聞かれるので対策しておくべきである。また、経済調査の場合も証券アナリストではない理由を問われるのでそこを準備していくべきであろう。

 

 

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まとめ

シンクタンクは民間企業かつ研究者を求めているので、研究が苦にならないことが第一で、なおかつお金にならなければならないのでチームワークやプレゼン能力も重要になっているようだ。

採用人数はシンクタンクじゃないとのたまう野村総研を除けば、各社数人から多くても30人くらいしかいないので、そこから内定をもらうのは宝くじを当てるようなものだと思う。
(※野村総研は経営コンサルと一緒に採用するので百人近い採用数になる模様)
ただ自分の探究心を社会に還元したいという人にはうってつけの仕事だと思うので、文章を書いたりするのが苦じゃなければ受ける価値はあると思う。

 

ということで、今日はこの辺で。

 

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。


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ではでは

 

コメント

  1. 就活生 より:

    シンクタンク業界をまとめたサイトが少ないので、とても参考になりました。
    ありがとうございます。
    船井総研はわかるのですが、富士通総研って結構大企業や行政に対しても仕事している印象があるのですが、ほとんどは中小企業が相手なのですか?
    できれば富士通総研とNTT経営研究所の紹介もお願いします。

    1. takopetty より:

      コメントありがとうございます!
      うーむ。残念ながらそこらへんは私にもわかりかねますので、
      学生様ならできればOB訪問や社員訪問に行かれた方が詳しい情報を得ることができると思います。
      お役に立てず申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

  2. pwc より:

    シンクタンクと言っても、リサーチとコンサルでは全然違うと思いますし、
    この記事は誰向けに書かれているのかよく分かりません。
    書いた方は浜銀総研内定者?この並びで浜銀があって富士通総研がない意味が分かりません。
    ちなみに富士通総研が中小しかやっていないというのは勘違いか、
    そうでなければ嘘が過ぎるというところです。
    他と違う点で言えば公共系の案件が多いことですが、
    基本的にクライアントは大企業ですよ。

    1. takopetty より:

      貴重なコメントありがとうございます。
      この記事を執筆したので浜銀総研内定者ではなく他の会社の内定者ですが、仰る点はごもっともですので記事に反映しておきます。
      コメントありがとうございました。

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