
内販率の高いユーザー系のSIer会社はホワイトだし安泰でオススメですよーというお話を以前記事にしたのですが、本日は別視点から、案外そうでもないよ。ってお話をします。
確かに、内販率の高いユーザー系のSIer会社はホワイト率が高いです。それは間違いありません。
「内販率って??ユーザー系って??」
って感じの皆さんはこちらの記事(SE業界の実態とホワイトSIer会社の見つけ方を就活生に教えよう)にてわかりやすく解説しておりますのでこちらをご覧ください。
今回の記事内容を理解するには上記記事を先に読んでおいた方が良いかもしれませんw
SIer業界の基礎知識を解説しております。
さて、それはさておき先日、そんなホワイトSIer会社に勤務する社員さんから、「確かにホワイトであるけど、そもそもSIerをはじめとするIT企業自体が将来性ないかもよ??」というご意見をいただきました。
ということで本日は、IT業界内の某ホワイト大企業に勤める社員さんから「SIer業界の未来が暗い理由」を解説していただきました。
今回記事を寄稿してくださったのは独立系大手SIerで金融業界向け営業を4年間担当した中堅社員の方です。僕の大学の先輩ですねw
ここで僕があーだこーだ言ってもしょうがないので、早速見ていきましょう!
以下、独立系大手SIer会社の社員さんからの寄稿記事になります。
自己紹介
25歳男、都内私大卒・独立系大手SIerで金融業界向け営業を4年目。
まずはじめに一言。
「SIerをはじめとするIT企業って就活生受け良いよね。」
都内勤務が可能であり、グローバルで時代の最先端をひた走る業界。
「IT土方」なブラックな印象も過去のもので、最近はAIの力とかで働きやすくてやりがいあって、メーカー・マスコミみたいな斜陽と言われがちな業界よりも未来がありそう!
…と世間一般では言われておりますが、本当にそうでしょうか??
確かに働きやすいのは事実なんですが、実際に働いていてもなんか個人としても競争力つかないし、あとはSIerっていう業種そのものへの落胆を感じております。
所詮はエンジニアの人月売りが中心で、外資やベンチャーのIT企業に押されており、かつ成果が報酬に紐付かないのでそんなに良いもんじゃないと思います。
ということで以下、SIer業界の未来が暗い理由についてお伝えしたいと思います。
そもそも時代の変化に追いつけない事業構造
第一の前提として、顧客にとって情報システム部門はコストセンターでしかありません。
情報システム部門がわからないという方のために説明をすると、例えば大学で例えるなら
「PCルームにあるパソコンを管理したり、履修登録をするサイトを作ったり、職員の勤務管理とか授業料や給与等々会計を管理するシステムを作ったり、校舎内のWi-Fiを維持したり改善したり」
といった仕事です。
身近なものでいうと銀行のATM等に代表される金融システム、コンビニエンスストア等で用いられる在庫管理システム、新幹線や飛行機等の座席を管理する座席予約システム等があります。
すごく大まかに言うと、これらを作り、維持する仕事が情報システム部門ということになります。
なぜこの情報システム部門が企業にとってコストかというと、端的に言えば直接利益に繋がらないからですね。
例えば「会員の購買データから好みの製品を提案」みたいな高付加価値な事業貢献ができればプロフィット化出来ますが、日系の大企業がやっているような「生産管理システム(工場のラインを制御するシステム)の保守運用」とか「社内PCの管理」とか「給与計算システムの開発」はコストでしかないのです。
情報システム部門がコストセンターである以上、当たり前ですが各企業は新技術を使ってコストカットを狙います。
IT領域は新技術がどんどん出てきていますからね。
しかし、大手SIerにとって顧客に新技術を使われるのは事業縮小に転ずるので、頑なに旧技術に固執します。
なぜかと言えば大手SIer会社が提供している商品が旧技術に依存した商品だからですね。
そのため大手SIer会社ほどむしろ逆に旧技術にしがみつき、顧客が新技術に流れ込まないように御用聞きに徹するようになります。
すなわち、大手SIerほど新しいことをしたがらない構造になっているのです。
巷では「 AIでビジネスを〜」なんて言っておりますが、口ではそう言っても実際は誰もやりたがっていないのが実情です。
※新技術とは?旧技術とは?
例えば情報システムの基盤を考えたとき、「旧技術」とは、メインフレームに代表されるような物理的なハードウェアを顧客社内のサーバルームに設置して、それをSIerの常駐要員が24時間体制で、「機会のランプがちゃんと点灯してるか」を確認したり、バックアップ用のテープを交換して管理したり、そういった従来の基盤や運用体制を指します。一方で、AmazonやGoogle、マイクロソフトといった外資企業やベンチャー企業が提供するクラウドサービスを活用し、ハードウェアを顧客先に置いたり管理することなく、インターネット経由で仮想的に使うのが「新技術」活用の一例です。当然ながら、SIerの請け負える仕事の領域は圧倒的に減ることになります。
稼ぎ方が人月モデル
日本のSIer業界は「人月」で代表される工数ビジネスが基本なので、工数、つまり「手間」が掛かれば掛かるだけ事業が大きくなる、という事業構造です。
※人月=人月(にんげつ、マンマンス、man-month)とは、1人が1か月で行うことのできる作業量(工数)を表す単位。
したがって、SIerはなるべくレイヤーの低い(単純で)、工数の掛かるようなプロジェクトにしたがります。
その結果、SIerは作業効率を高めるというインセンティブが働かないため、スキルがつきにくい構造になります。
かつ、1つのプロジェクトが細分化されているので個々人の視野が狭くなり応用が効きにくいのです。
例えば、ベンチャー企業の開発した最新の解析サービスを使って、データアナリストがビックデータ分析を行えば簡単に解決できる課題があたっとしても、SIerは
「一からシステムを構築して、泥臭く人手をかけてデータを分析していきます」
みたいなビジネスにしたがります(そうしないと稼げない)
もし顧客から「最新の解析ソフトが使えないの?」と聞かれても、SIerはきっと難癖をつけて「実績がなく効果も証明できません」などと言って逃げるでしょう。なぜなら、手間が減れば減るだけ売上が減ってしまうのです。
あとは開発方法もウォーターフォール型(滝のように上流から下流まで流れていく)が主流です。
web企業で自社サービスを開発しているエンジニアだったら、「 いろんなコードを書いてみて動かしてみてどんどん改善していこう 」という、アジャイル型でPDCAを回していくような開発手法を取れるので、成長スピードは早いです。
しかしSIerは「要件定義→仕様設計→開発→テスト」という絶対の流れがあるので改善もできないし、個々の工程で作業も細分化されているので、「全体のシステムのうち、私の責任範囲はこのシステムのこの機能のこのフェーズです。スコープ外の作業はできません」となり、この仕事しかできなくなります。
すなわち、自分で判断をしたり、考えたりする力が身につかないんですよね。
個々人の成果が評価されにくい
複数人でプロジェクトを回している、かつ個々人の業務領域が狭い、かつ工数で客から金が来る契約形態が主流なので、優秀な個人、というのが評価されにくくなっています。
例えば1人月1000行のコードを書く工数見積をしていたプロジェクトで、優秀なプログラマーが半月で1000行書き終わったところでテストなど別工程の兼ね合いもあったり、客に「見積もりの半分の工数で出来ました!」と言ったら
「なんだ、半分でできるんじゃん。じゃあ今回はサボってたんだね。次から安くできるよね」
となるのは目に見えているので、現場エンジニアは半分で出来たところでそれを隠すでしょうし、もし隠してなくてもそれを客に伝えるほどバカな営業はいません。
結果、1人月で見込んだ作業を半月で終わらせても誰にも評価されないのです。
あとは、スキルよりもむしろ顧客・プロジェクト内での「コミュニケーション」「根回し」が大手SIer会社ではより一層重要になってきます。
対顧客に対しては、例えば仕様が確定した後に「やっぱこう変えてくれ」と言われると面倒なので、そもそも言わせないように事前に固めたり、言われそうになったらうまく妥協点を探ったり、言われてしまったら最後は腹くくって残業して完遂させたり…
対プロジェクトだと、上下とのやり取りは他の仕事と同じだとしても、横の調整ですよね。
プロジェクト内の別チームと認識が違って作業が抜け落ちたり、仕様が不統一だったらいけないので、そこの調整を問題なくできるか、あたりが評価基準になります。
従って、大企業特有の「根回し」や「コミュニケーション能力」スキルは身につくかもしれませんが、肝心のテクノロジーに関するスキルは身につきにくいのです。
グローバル対応できない
そもそもSIerっていうビジネス自体が日本特有のものです。
海外ではシステムに業務を合わせるのでインテグレーションが不要なんですよね。
日本では社内の立場として情シス部門が弱いのでシステムを業務に合わせなければならず、そこに非効率が発生しています。
情報システム部門の立場が弱いとはどういうことかと言えば、例えばメーカーは「モノを作ってる工場が最強」だったり、流通小売も「稼ぎを生み出す店舗が最強」だったり、営業会社なら「営業が最強」だったりするわけです。情シス部門なんて軽んじられるわけですね。
なので情シス部門は、「まともに動いてて当たり前、褒められることはない。システムが止まったらぶん殴られる役目」だったりします。
「グローバルです!」って主張しているSIerも、その実態は日系企業の海外現地法人向けシステムの手配か、海外法人の買収に特化しているだけだったりします。
日本市場がシュリンクしていく中で、現状維持の日系大手SIer会社に存在価値はあるでしょうか?
そもそも海外では必要とされない役回りなんですよ。結局責任転嫁できる先としてSIerがいるんですよね。
まとめ
以上!「SIer業界の未来が暗い4つの理由」でした。
この意見が全てというわけではありませんが、確かに将来性、スキル、成長性という面で見るといくらホワイトであろうと日系大手SIer会社に行くのは考えものかもしれませんね〜
まあそれでも高給で福利厚生は手厚いですし、しばらくは安泰でしょうので成長とか考えないで生活を豊かにしたいと考えている就活生にとっては良い企業でしょうが…
そうは言っても、このご時世、何が起こるかわかりません。
会社に依存もいいですが、自分が成長できる業界に入社して、自分の価値を高めるということを考えてみてもいいかもしれませんね?
ってことで、まあまとめると、自分で徹底的に企業研究をして、自己分析をして、OB訪問をして、自分は会社に何を求めるのか?というのを就活中にハッキリ決めておきましょうね!ってことですw
そして、現代は学生のための就活サイトが充実しています。
例えば僕オススメのサイトだと、UnistyleやONE CAREERなんかはめちゃくちゃいいですねえ… 超詳しく業界研究ができますよ…
本当に使えるのは
ES「one career、unistyle」
企業情報「vokers、カイシャの評判」
名刺管理「eight、wantedly people」
長期インターンの社員と友達。
煽られたい時の「みんしゅう」— うぃるん (@willnsyukatsu) 2018年1月29日
ONE CAREERでは就活界隈では有名なトイアンナさんとか、 借金玉さんあたりも記事を寄稿しています。お2人とも人生経験が豊富なだけあってそこらへんのライターが書いている記事とは一線を画する内容ですので、皆さん是非読んでみましょう。
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Unistyleでも、「メガバンク入社2年目の行員が語るリアル」など、業界の悪いところまで赤裸々に描かれている記事が多数公開されております。
無論、SIer業界をはじめとするIT企業のお話も色々と書かれておりますよー
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ということで就活生の皆さん、イメージでものを決めてはいけません。1人の人の意見を聞くのではなく、色々な人の意見を聞いて、自分なりの答えを見つけ出しましょう。
そうすることで、自分にとっての天職、本当にいい企業をいうものが見えてくると思いますよ。
ではでは今日はこの辺で。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
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