「メガバンクなんかクソだ!オレは今をときめくベンチャー企業に転職して、自由でやりがいのあるキャリアを手に入れてやるんだ!」
本日はこんな思いでメガバンクを退職し、20代でベンチャー企業に転職して地獄を見た友人のお話をしていきたいと思います。
隣の芝生は青く見えるとはよく言ったもので、大企業に勤めていると、イキイキと働くベンチャー企業社員が羨ましく思えてきたりするものです。
実際、「大企業はオワコンですw」なんていう論調のブログやYouTube動画も多いです。確かにそれは一理あるかもしれません。
しかし、だからといってそれを真に受けてベンチャー企業に転職したからといって、全員が全員幸せになれるとは限りません。
中には、ベンチャー企業に転職して不幸になる人間だっているのです。
むしろ、ベンチャー企業は大企業ほど福利厚生が整っていないですし、経営も不安定なことが多いです。
小さい会社であればあるほど「部署異動」という逃げ道もなくなるため、もしもその会社に合わなかった場合、八方塞がりになることも…
ということで以下、メガバンクから社員30人のベンチャー企業へ転職し、地獄を見た僕の友人の実例を詳しく書いていきたいと思います。
そして、彼の失敗談を元に、ベンチャー企業に転職する際はどのような点に気をつければ良いのか?という点についても詳しく見ていきたいと思います。
メガバンクのような大企業からベンチャー企業への転職を検討されている方にとっては非常に有益な内容と思いますので、是非とも最後までご覧ください。
目次
メガバンクで出世するというエリート街道を捨て、ベンチャー企業の法人営業職へ転職
まずは彼の自己紹介だけしておくと、彼は僕の大学時代の旧友でして、学歴は慶應義塾大学の経済学部出身です。以下、A君とします。
A君は学部卒としてメガバンクに就職を決めました。
・慶應経済卒
・メガバンクにストレートで就職決定
という、絵に描いたようなエリート街道です。
メガバンクに就職してそのまま順風満帆に出世コースを歩み、高年収を謳歌して悠々自適に暮らすというのが彼の計画だったと思うのですが、そうは問屋が卸さず。
メガバンク入社後に待っていたのは、地獄でした。
配属先の部署でクソ上司にぶち当たり、
・蹴られる
・ファイルを投げつけられる
・死ね・
等のパワハラを受け、精神を病んでしまいます。
流石に今のメガバンクにはこんな上司はいないと思いますが、当時はまだまだこんな化石のようなクソ上司が存在していたのです…恐ろしいことですよね….
さらに、毎回の飲み会後には謎のエール交換や胴上げなどが行われ、はたから見ればそれはまるで新手の新興宗教のよう。
A君は一刻も早くその場から逃げ出すため、メガバンクを退職することを決意するのでした。
(※詳しいお話はこちらの記事(新卒1年目の銀行員が感じたメガバンクのクソさと実態)に書いているので、興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。)
メガバンクを退職後、A君はどこに就職したのか?
それは、社員30名ほどの新進気鋭のベンチャー企業でした。
うまくいけば会社が上場してストックオプションで億万長者になれる可能性もあり、彼は夢を膨らませてそのベンチャー企業に入社したのでした。
入社経路としては、A君の友人がこのベンチャー企業に勤めており、その友人から誘いを受け、入社を決めたということでした。
クソ上司から暴力まがいのパワハラを受けていたA君にとって、ベンチャー企業へのオファーはまさに希望の光だったのです。
そんなわけでA君はメガバンクで出世するというエリート街道を自ら放棄し、社員30名弱・新進気鋭のベンチャー企業へと足を踏み入れることになったのです。
ただ、人生はそんなにうまくいくものではありません。
A君はメガバンクという地獄から、また新たな地獄へと迷い込んでしまったのでした….
入社早々、人事労務に関する契約書トラブルが多発。脳裏に浮かぶ一抹の不安
メガバンクを退職し、友人が勤めるベンチャー企業へ颯爽と転職したA君。
心を躍らせて諸々の契約を済ませ、ベンチャー企業で働くこととなります。
が、入社早々、働き始める前の段階からA君の身にトラブルが多発します。
そう、メガバンクに就職した時には気にも留めなかった、人事労務に関する契約書トラブルです。
大企業では入社する前の段階での契約書トラブルなんてのはほとんどありえないことですが、社員が少ないベンチャー企業では人事労務に精通する社員がいないケースが多く、普通の会社ではありえないミスが起こったりするのです。
A君の場合、雇用契約書の条件が面接で提示された条件と違っているという、とんでもないミスが発覚したのです。
まず第一に、A君の雇用形態は正社員だったのに関わらず、無期雇用ではなく有期雇用で契約されておりました。
普通は「期間の定めなし」という契約のはずなのに、「○月○日から○月○日まで」と雇用期間が定められていたということですね。
これに関してはA君がきちんと雇用契約書を確認していたので事なきを得ましたが、もし確認していなかったら、正社員で入社したはずなのに実は契約社員と同じ雇用形態だった!なんて事態にもなりかねなかったのです。
さらには、雇用契約書に書かれていた休日日数も間違えていたようです。
土日祝が休みと聞いていたはずなのに、雇用契約書上では1ヶ月あたりの休日日数が土日のみでのカウントとなっていたのです。
要は、聞いていた話よりも休日日数が少なく記載されていたということですね。会社側がわかってやっていたかは知りませんが、これも気づかなかったら恐ろしいことです。
そして、極め付けとして入社時、担当者からこのような一言を言われます。
「状況が変わった場合は給料が変わる可能性があるから、そこんとこよろしくね。」
ベンチャー企業なので給料の浮き沈みはある程度覚悟していたことかもしれませんが、それでもこの一言は不安になります。
「もしかしたら将来的に給料が下がるんじゃないのか…?」
「タダ働きされる可能性が高まるんじゃないか…?」
こんな不安が脳裏を過ぎります。
実際にはビジネス自体はうまくいっていたので給料が下がることはなかったようですが、しばらくして別のトラブルが発生します。
それは、正社員であるはずなのに雇用保険料が天引きされていないことにA君は気づいたのです。
一般的に、正社員であればほぼ間違いなく雇用保険に加入するはずです。
僕ら労働者は雇用保険に加入し、毎月の雇用保険料を支払うことで失業手当をはじめとする諸々の公的支援を受給することができます。
しかし、雇用保険料が給料から天引きされていないということは、雇用保険に加入できていないのではないか???ということになるわけです。
A君はこれに気づいて人事労務の担当者に確認したところ、会社側のミスで雇用保険に未加入であったことが発覚。
本当に会社側のミスなのか、わかってやっていたのかは定かではありませんが、いずれにせよA君は雇用保険未加入であることに気づくことができたので事なきを得ました。
とまあ、挙げればキリがありませんが、本業の仕事以外で人事労務の契約書関連でのトラブルが入社早々に多発し、「この会社は本当に大丈夫なのか…?」という不安がA君の脳裏に浮かぶこととなります。
そして、その不安は見事に的中。
A君がベンチャー企業に転職してからわずか2年で、30人いた社員のうち20人以上が退職し、会社は崩壊の危機に瀕することとなります。
ワンマン社長によるワンマン経営。わずか2年で20人以上の社員が退職
A君の入社した会社は、ベンチャー企業にありがちな、ワンマン社長によるワンマン経営の会社でした。
確かにやり手の社長ではあったのでしょうが、その非常識な言動と挙動に、A君は一社員ながら一抹の不安を覚えます。
例えばこんなことがありました。
社員30名ほどの小さいベンチャー企業ですから、時には社長自らがお客さんに請求書を送ることがあります。
この時に、あろうことかA君の口座を振込先口座として請求書を送ってしまったことがありました。
お客さんからの指摘によって事なきを得たということですが、これは社員の個人情報保護という観点から言ってもあまりにも非常識すぎるミスです。
また、ワンマン社長ですから社長の一存だけで人事考課が全て決まります。
既存の社員がどれだけ頑張っても、上のポジションに就けるのは社長と仲の良い人間だけであるという事実に、A君は気付き始めるのです。
・社員の意向は全て無視され、どこの誰かもわからぬ社長の昔からの友人がいきなり上のポジションに抜擢されたり、
・顧問税理士が急に解雇され、どこの馬の骨かもわからぬ税理士が担当に付き、挙げ句の果てにその税理士が年末調整直前で蒸発してしまったり、
・接待でもなんでもなく、会社のカネを使って昔の経営者仲間とキャバクラ豪遊を繰り返したり、
例を挙げればキリがありませんが、ともかくとして、社長は自分の会社とカネをあたかも自分のモノであるかのように振舞っていたのです。
こんな状況なわけですから、既存の社員は愛想を尽かし、次々と会社を去っていきました。
A君もヤバイとは感じていましたが、せっかく入社した会社ですからなかなか辞められず、それでいて中途入社の社員なわけですから、社長から罵倒される日々が続きました。
社長のお気に入りメンバーや昔からの仲間はミスをしても大して怒られず、アウトサイダーであるA君やその他社員がすべての失敗の責任者とされます。
月間の営業目標が未達の際も、メンバー全員の責任であるにも関わらず、
「営業目標が未達なのはお前のせいだ!」
などと社長がA君に責任転嫁することも増えてくるようになりました。
社長のお気に入りメンバーだけが会社に居座り続け、社長のお気に召さない社員はどんどん辞めていくという状況が続いたのです。
社員が全く定着せず、会社に残るのは社長のお気に入りメンバーと昔からの繋がりがある人間だけ….
辞めては新しい人を採用し、辞めては新しい人を採用するの繰り返し。
こんな組織にいても将来はないと感じ、A君はこの会社に見切りをつけ、退職を決意するのでした。
A君はなぜベンチャー企業への転職に失敗したのか?後悔しないための転職をするにはどうしたら良かったのか?
そんなわけでA君はこのベンチャー企業を約2年で退職し、ホワイト企業へ転職することとなります。
「安易に友人の誘いに乗って転職先を決めなきゃ良かった…」
とA君はかなり後悔していましたね。
では、
・A君はなぜベンチャー企業への転職に失敗してしまったのでしょうか??
・どうすればベンチャー企業への転職を成功させることができたのでしょうか??
A君の経験談を踏まえて、ベンチャー企業への転職で後悔しないためのポイントを具体的に見ていきたいと思います。
社長の経歴や性格、会社のビジョンなどを事前にしっかり調べておく
「社長の経歴や性格、会社のビジョンなどを事前にしっかりと調べておくべき」というのがA君の実体験談から学べる1点目のポイントです。
「社員30名程度のベンチャー企業は風通しが良く、社長との距離も近いし効率的な仕事ができる」というのはベンチャー企業のメリットとしてよく語られるところですが、逆に言えば社長とウマが合わなかったら地獄です。
大企業ならば社長と接する機会なんてほとんどありませんので社長の経歴や性格なんぞほとんど関係ないのですが、社員30名ほどのベンチャー企業ではそういうわけにはいきません。
・社長の性格とウマが合うかどうか?
・会社が掲げる理念やビジョンに共感できるかどうか?
社員が少ないベンチャー企業に入社するとしたら、この辺はまず第一に見ておくべきポイントでしょう。
A君の場合、社長とウマが合わなかったのもそうですし、友達に誘われただけですから会社のビジョンに共感もしていないですし、使命感もなかったのが失敗でしたね。
会社のビジョンに共感し、自分の人生を目の前の社長に捧げて大丈夫なのかどうか?
新進気鋭のベンチャー企業に転職する上ではこれくらいの基準を設けておくべきでしょう。
人事労務部がしっかり機能しているかどうかを徹底的に調べる
「人事労務部がしっかり機能しているかどうかを徹底的に調べる」というのがA君の実体験談から学べる2点目のポイントです。
A君は入社早々に雇用契約関係のトラブルに悩まされ、入社後には雇用保険未加入だったという事実も発覚しました。
創業したてのベンチャー企業ほど、売上を伸ばすことに注力するあまり、人事労務や経理、総務関係が疎かになっていることが多いです。
そのリスクを認識した上で入社を決定するのなら良いですが、少なくとも社会保険や雇用保険の基礎知識は事前に身につけておくべきです。
もしもA君に雇用保険の知識が全くなかったとしたら雇用保険未加入の状態にも気づかなかったでしょうから、いやはや恐ろしいことです….
人事労務部がきちんと機能しているかどうかを徹底的に確認し、自分の身は自分で守ると覚悟を決めた上で、ベンチャー企業への入社を決めるべきでしょう。
信頼できる友人に誘われたからといって、何も考えずにその会社に入社してはいけません。
友人に誘われたからといって安易に転職先を決めてはいけない
最後、「友人に誘われたからといって安易に転職先を決めてはいけない」というのがA君の実体験談から学べる最も重要なポイントです。
そもそも、A君がベンチャー企業への転職を決めた発端は、信頼できる友人に誘われたことからでした。
しかし、A君を誘ってくれたその友人は、A君が入社後に即退職を決めていたそうです。
冷静に考えると、自分の会社に友人を誘っておいて自分はすぐにその会社を辞めてしまうなんて、なんとも無責任ですよねw
ですが、自分にとって所詮他人は他人。
人は自分のことが一番可愛いですし、いざとなったら友人は自分のことなんて守ってくれないんです。
この世の中、全ては自己責任です。「友達が誘っているから…」「転職エージェントさんが勧めてくれたから…」「インフルエンサーが言っているから…」なんていう安易な理由で転職先を選んではいけません。
自分のキャリアなんですから、友人に誘われたとしてもその友人の言うことは鵜呑みにせず、社長の経歴・性格や会社のビジョンなど、人任せにせず自分でしっかり調べておくべきだったんです。
「転職先を他人任せで決めてしまった」
この点こそが、A君が転職に失敗した最大の要因だったのではないかと思います。
実際、A君はこの教訓を踏まえ、次の転職は自分の力で転職先を決定しました、
転職エージェントはビズリーチを利用したそうですが、エージェントは求人を探す目的においてのみ使い、基本的には自分で求人を選択し、自分で調査し、自分で面接に臨んだようです。
転職エージェントの言うことを決して鵜呑みにはしなかったということですね。
これは素晴らしいことだと思います。
皆様もこれから転職をする際は、転職エージェントや友人、インフルエンサーの言うことを決して鵜呑みにはせず、自分のアタマで考えて、転職先を決めるようにしましょう。
これこそが、この世知辛い日本社会を生き抜く力だと、僕は思うのですよ。
ではでは、今日はこの辺で。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
ちなみに、
①ブログには書けないようなさらに濃い話
②就活や転職をする際に、必ず知っておくべきこと
③僕が長い年月をかけて編み出した「感情マーケティングを応用した必勝面接術レポート」
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