大手化学メーカーの技術職から内定を貰った理系大学院生の就活体験談

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本日は、先日就活を終えたばかりのリアル理系大学院生に就活体験談を寄稿していただきました。

彼は僕と同じで慶應大学の同期であり、大学院で有機化学を専攻しておりました。そして最近連絡を取ったところ、某大手化学メーカーの技術職から内定をもらったとのことでした。

彼はかつては自分が院生であるから漠然と技術職を志望していました。しかし、途中から方針転換。コンサルや商社を志望し始めました。

それでも結局は巡り巡って某大手化学メーカーの技術職から内定をもらった…という流れになります。

 

その中で彼は、「自分が理系院生だからといって安易に技術職に就いてはならない」という思考に辿り着いたようです。

 

理系大学院生であることは技術職を志望する理由にならない

理系院生だからといって安易に技術職に就くな!自分で考えろ!

・就活を楽しめ!

 

そんな彼の主張を、彼の就活実体験談を元に見ていくことにしましょう!

 

では、以下は彼からの寄稿記事になります!

 

はじめに

ここでは私の経験を踏まえて、理系大学院生であるみなさんにどういったスタンスで就活をしてほしいか伝えたいと思う。

要点は、

・「院卒」は技術職を選ぶ理由にならない。技術職に就く理由を整理しよう。
・新聞を読んで、視野を極力広くしてから就活を始める。
・効率の悪い就活にも得られるものはある。効率の良さを求めるな。
・自分の将来を考えると楽に進めることができる。
・就活を楽しめ!!!

である。ちなみに私は、結局は技術職に就くという結末を迎えた。

 

インターンシップ

就活は学部のときには全く行わず、修士から始めた。経団連の定める内定開始が6/1、説明会解禁が3/1のときであり、修士の学生は基本的には修士1年の3月から修士2年の6月に行われる、ということになる。

 

さて、私が本格的に就活に乗り出したのは修士一年の夏、インターンシップの選考に向けて動き出した時である。

それまでは先輩の就活をみて就活は大変そうだなぁとみているだけであり、どの業界に行きたいだとかどの仕事をしたいだとか具体的なビジョンは全くなかった。

修士の学生の多くはその学んできたことを活かすために技術系の職種に就くことが多い。だから自分も技術系でいいと漠然と思っていた。

インターンシップも周りがちらほら話し始めていたからとりあえずやってみただけであった。そんな私が応募した企業は自然と大手メーカーということになった。

なにせ説明会も行っていないため、企業のことなど何もわからず、とりあえず名前を知っているところを検索して応募してみる以外に選択肢がなかったのだ。

こうしてテキトーに採用を受けた私はガバガバESを提出し、なぜか書類は通ったものの、初めてのグループワークで何をしたらいいかよくわからず、無事に玉砕したのである。

このとき受けた会社は記憶の範囲では5社くらいだったと思う。業界も化学だけでなく電機にも住宅系にも出したと思う。いくつか面接までいったような気がするが、正直ほとんど覚えていない。それほど、雑に何も考えずに選考に臨んでいたのだ。

 

夏のインターンシップの時期が終わると、次は冬のインターンシップの選考になる。ちなみにその期間、私は就活に関していえば全く何も行っていなかった。

ただ、心境の変化はあった。この期間、新聞を読んだり就活を終えた先輩の話を聞いたりし、社会に触れる機会が増えていた。

そこで自分がそのまま技術系の採用でいいのか疑問に持ち始めたのである。ここで疑問をもてて本当に良かったと思う。

その疑問点を列挙する。

 

・技術系より事務系の人のほうが稼げていそうだというイメージ

・技術は地方の工場や研究所で働かなければならないこと(私は生まれも育ちも東京だ)

・そもそも自分が実験が得意でないこと

 

いずれも取るに足らないことだが、一番重要なのは「修士卒だからといって技術職である必要はない」ということだ。

言い換えれば「自分の学んできたことを活かさなければならないという縛りはない」。

これは日本の就活のいい点だと思う。学んできた学問と仕事は一致しないのは日本の特徴で、文系の人も自分がゼミで学んだことを仕事で生かしている人は少ないはずだ。

そんなこんなで、冬のインターンは本気で行きたいと考えていた。

インターンに行く目的としては、事務系でも技術系でも仕事をやってみて向き不向きを体感することだった。

結果的には技術系のインターンに5日間参加することができ、技術職の現実を体感することができた。

 

就活の進め方

2月

冬のインターンが終わった2月の上旬、そこから私の就活は本格的始まった。

結局事務系のインターンには参加できなかったので、まずは事務系職種から見ていくことにした。

 

方針としては、人気の保険・銀行・コンサル・メーカー・商社を見ることにした。

 

やり方として事務系向けの合同説明会に参加するというのが最も手っ取り早い方法だ。2月は特に会場も混んでいないし、エントリーする会社を選ぶというスタンスで臨めるので、疑問点も鮮明になる。

これがエントリー後になると、入社したいという気持ちも入ってきて盲目になる。また、サークルの先輩にお願いし、OB訪問を行った。OB訪問もこの時期に行うことをお勧めする。自分がどのような業界に興味があるのか整理できるからだ。この期間で私は保険と銀行、二つの業界を選択肢から外した。

ちなみに先に述べたように私は化学系の学生だったから、化学メーカーを中心に見ていたが、実は「化学系の学生」であることと「化学メーカーを志望する」は全くもって相関はない

機械系・電気系・生物系etcの学生が化学メーカーを受けることは普通のことであり、化学系の人間がそのほかの業界を受けることも可能である。

 

重要なのは「自分の学んできたことからなにができるか」ではなく、「その企業に入社することで自分が何を得られるか」だ。

 

「何を得られるか」とはスキル面でもいいし、何かを開発する機会でも、目的があるなら何でも構わない。もちろん志望動機には自分の学んできたことを活かして云々を書く必要が出てくるかもしれないが、学生側にとってそれは問題ではない。

ただ、一般に機械や情報系の学生はどの企業も必要としているが、化学系・生物系の学生が純粋な機械メーカーやシステム職として企業に入るには少々ハードルが高いように思える。

学問を超えた志望をするときには、きちんと準備して対応する必要があることも注意してほし
い。

私にも私なりの目的があって化学メーカーを志望したが、要点だけ言えば、私は「ものづくり」に関わっていたいという気持ちがあり、それが就活の軸となった。実はその軸から派生して商社とコンサルが選択肢に残っているのだ。

 

3月

さて、3/1になった。この段階ではメーカーは技術職で受けること、商社はとりあえず受けてみること、コンサルは保留という形だった。メーカーに関しては、とりあえず大手というスタンスで臨んだ(後日面接で聞かれた「なぜ大手志望なのか、」という質問には答えられなかった)。

一つアドバイスできるとしたら、マイナビとリクナビは使ってもいいが使う必要は皆無である。だから3/1にこれらのサイトから頑張って予約する必要もない。行きたい会社のページから直接応募するのが良い。

少し脱線したが、とにかく、特にここに行きたいという会社がなかった私はたくさん大手にエントリーした。片っ端からエントリーした。

理系が受けそうな大手電機メーカーや自身の専攻の化学メーカー、研究室の先輩が勤める企業中心だった。そして商社も大手のいくつかにエントリーした。コンサルは情報が入手できておらず、マッキンゼーとかアクセンチュアとか知っているところだけエントリーした。

 

お分かりだろうがこれは失敗例でもある。

 

2月中に志望業種を全然絞れていなかったためエントリー数が無駄に増え、説明会とESで予定が埋まり、3月4月は鬼のようなスケジュールで動くこととなってしまった。

しかし私はこれで正解だったと思っている。就活はいろんな企業に好き勝手に出入りできる唯一の機会だからである。

また脱線するが、この時点での考え方は「受けたいところだけ受ける」か「とりあえずたくさん受ける」のどちらかが多いと思う。

前者のほうが効率がいいし、内定も出やすい。手っ取り早く内定が欲しい人は2月中に志望する会社までしっかり絞り切れていれば楽なのではないだろうか。

 

一方で後者は忙しいし効率も悪い。ただ、非常に楽しいのである。特に絶対行きたいわけでもないから気負いなく会社見学や説明会に行けるし、聞きたいことは遠慮なく聞けるし、自分の視野もかなり広がった。

だから就活を楽しむスタンスの人には、たくさんエントリーして社会科見学のようにこなしていくといいと思う。私は楽しめた。

 

それはさておき、3月は説明会、テストセンター、ES、そして理系の宿命である学会準備で大忙しだった。予定が2つ以上ない日はなかった。説明会にいたっては、とある日程に集中しすぎて何回もリスケジュールをさせられたほどだった。

一つアドバイスをすると、「説明会予約は埋まっていたら人事にすぐ連絡すること。」たまに空席が現れる。テストセンターは1回でもいいし何回受けてもいい。

私は不安だったから何回も受けたが、結果はそんなに変わっていないと思う。ESは絶対一回は先輩か友人にみてもらうべきだ。

自分が理解できていても他人が理解できない文章、というのは添削していてかなり多い。そして理系学生につきものの研究概要は、私の場合教授に添削していただいた。

 

4月以降の就活

もうここまででかなり長くなってしまったから簡潔にしよう。4月もいろんな説明会に行きながら社会勉強もかねて就活をした。

とはいえ先に述べたように大手電機、化学メーカー、一部の商社・コンサル中心だが。説明会だけでなく、OB訪問や同期とか先輩、後輩と意見交換を通じて自分の将来なりたい姿を少しずつ固めようとした。

結果的には固まらなかったが、そのプロセスまでは決めきることができたと思う。そのプロセスが志望動機になり自己PRになり、面接で活かすことができた。

ガツガツ系の意識高い人間が形成されてしまったから割とポンポン落とされはしたが…。

だがここで自分の将来に向けたプロセスを決めきったことで、コンサルも商社も高い志望度で受けることになった。つまり、ここでようやく第一志望業界や企業が誕生したのだ。ただ、この作業は二月中に行うべきだったと反省している。

 

その中でも焦らない方法が「就活を楽しむ」だと思う。内定が早く出てしまうとほかの企業に行かなくなって世界が狭まるのだ、そういって自分を安心させていた。4月と5月はひたすら面接と説明会に明け暮れて、5/31に初の内定をもらい、その後も6月いっぱいは就活をして、最終的には自分のスタンスを受け入れてくれて、自分のやりたいことをやらせてくれそうな企業からいくつかの内定をいただいた。

ただ、企業にこだわりはないから自分のやりたいことができなさそうならばやめてしまうつもりでもある。

ちなみに内訳は、コンサル系一社と大手電機1社、大手化学2社、最終面接辞退がいくつかだった。

コンサルは受けると決めたのが遅すぎて選考に進めたものが少なかったこともあり、これが少し心残りではある。

商社は特になんということもなく落ちたが、今思えば向いていなかったし落としてくれてありがとう、といった感じだ。相当迷って(3週間も待っていただいた)、大手化学メーカーのうち1社を選んだ。自分の成りたい姿を固めてくれるプロセスとして、一番いい企業だと判断したからだ。

そして現在、私は技術職として勤務している。

 

最後に

最後に「就活を楽しむ」について触れておこう。就活を楽しむのは、多くの人にとって難しく感じるだろうがすごく簡単である。

コツは「説明会や面接の度に何か一つ思い出話を持って帰る」である。思い出話を作りに就活するのだ。

すると、周囲にも目が行くようになり、広い視野で考えられるようになり、思いつめてしまうことがなくなるとともに緊張も薄れる。

例えば、受付の人きれいだなあ、建物かっこいいなあ、外の眺めきれいだなあ、あの人の服装おかしいな、人事の口癖うるさいな、化粧濃すぎるな、いい匂いがするな…。

少し意識を向ける先を変えるだけで、様々なことに気が付ける。

それで気が付いたことを周りに思い出話として伝えれば、もうそれはただの就活というだけでなくある種の観光にもなっているはずだ。

そして就活は「企業と学生とのマッチングの場」だ。落とされた企業には自分が向いていないということだから、落としてくれたことに感謝して、次に進もう。

自分にとって唯一無二の企業なんてそうそうないのだ。「自分のやりたいことができる会社」ではなく「
自分の目指す姿になれるプロセスを提供できる会社」を目指して頑張ってほしい。

 

最後に、私は結局大手に就職してしまったが、理由は研修が丁寧だからと潰しが利くこと、同期が多いことが理由である。なんだかんだで凡庸な理由である….

 

まとめ

以上、大手化学メーカーの技術職から内定をもらった大学院生の実就活体験談でした!

どんな境遇の就活生にも言えることですが、今自分が何ができるか、で志望業界を決めるのではなく、自分は何をしたいのか?て志望業界を決めるべきなんです。

今回の記事はそんな基本的なことを再認識させてくれる体験談であったと思います。

 

ちなみに、彼はもう1本記事を寄稿してくれておりまして、「基礎研究をしている理系大学院生が研究概要をわかりやすく伝える方法」という記事も執筆しております。こちらは理系大学院生へ向けたノウハウ記事になりますので、こちらもよければご参照くださいー

 

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ではでは、みなさん就活頑張ってください!

 

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。


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